Cry!Cry!Cry!
「チヒロォ~!こっち向いて♪」
カシャッ
眩しい光が光ったあとに
カメラを持った美々は不満そうにあたしを見た。
「笑ってよぉ~。」
「笑う必要なんてないでしょ。」
ほんと校外学習なんてお金の無駄だ。
そのくせ祖母はこんな時に限って旅行代をあたしに渡した。
美々は来ないと処刑するって言うし。
でも、海を渡るこの船は気持ち良い。
風が髪に触れ鳥の声が安らいで聴こえる。
「まだ生きてたんだ。」
鳥の鳴き声が聴こえなくなった。
振り向くと金髪でショートカットのキャップを被った女の人が立っていた。
≪お前なんか…死んでしまえばいいのに≫
そうこの腐敗物を見るような軽蔑した目。
「さゆり…さん?」
「その名で呼ばないで!!!!」
この人の声は鋭く尖っていて聴くたびに
あたしの体が傷ついていくようだ。
「言ったよね?死んでって。
二度と私の前に顔を見せないでって。
人殺し。」
息ができなくなる。
あたしって…こんなに弱かったんだっけ。
怖くてこの人の顔が見れない。
体が急に震え、吐き気が襲われる。