Cry!Cry!Cry!


「そっかぁ、一ノ瀬悠介と付き合ってんだもんなぁ。


 そりゃ治るって。」



(因みにあたしはヒカルくんに会いたいがために


一回も部活をサボった事がないということは


言うまでもない。)




「ひぃちゃんも…私にとって凄い心強かったです。みんなみんな…。」



でも、新井幸の顔は少し暗かった。




「ただ・・・


 "ありがとう"や"ごめんね"を言うのが辛かったなぁ…。」



ふふふっと新井幸は困った顔で笑った。



「えっ?どゆこと?」



「皆は私のためにいろいろやってくれた。


 忙しいのにいろいろと。尽くしてくれた。



 それを"ありがとう"や"ごめんね"のたった一言で


 済ます事しか出来ない自分がとっても惨めに思えた。」



あたしはカプチーノを飲み、頬杖をついた。


(あたしのお得意のポーズ。

カッコいい事を言う時は決まってこのポーズをする。

つもりだけど、いつも忘れる。)




「でもさぁ、今はちゃんと歩いてるんだから


 それが皆へのとっておきの恩返しなんじゃないかな?」



うわぁ…自分で言うのもなんだけどクサッ。


どっかの少女マンガか

ドラマの言葉を取って付けたようだった。




でも、彼女は嬉しそうにペコっとお辞儀した。



「ありがとうございます。」



ああ…でも、なんか良いことした気分。

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