Cry!Cry!Cry!
~Thihiro~
「今日はありがとうございました。」
あたしが頭を下げると
武田さんは元気な声で「こちらこそ」と答えた。
顔を上げると楽しそうな笑顔。
こっちも笑顔になりそうなぐらいだ。
「あれ?どうしたの?」
急に笑顔から不思議そうにあたしを見た。
「あっ…いえ…楽しそうだなって…。」
「だって楽しいじゃん☆仕事♪」
彼は胸を張って言う。
「なりたくて自分の意志で入ったこの世界。
予想以上に楽しいから。」
そう…感じる人もいるんだ…。
きっとあたしもそういう時が来るのかな…。
あたしはまた彼にお辞儀をしてスタジオから出た。
テレビ局の外では南葉くんが一人ぽつんと遠くを見ていた。
ふと美々のあの言葉を思い出した。
「フラレたの?」
“あっ”と口を開けあたしの存在に気付くと首を傾げた。
「わからない…。」
「なにそれ。」
「でも、“ごめん”って言われた。」
「フラレたんじゃん。」
南葉くんは“うーん”と唸り腕を組んだ。
「だけど、告白されたよ。」
子供がお母さんに難しい言葉を言っているみたいなぎこちない喋り方。
「誰に?」
「夕実さんに。」
「っで、OKしたの?」
「“僕も好きです”って言った。」
・・・・・。
「両想いじゃん。」
「うん…。」
南葉くんは何かに引っかかるような顔で“うーん”と唸る。