Cry!Cry!Cry!
不安、そして…
~Thihiro~
「チヒロ、告っちゃえば?」
美々はずいぶん投げやりに言った。
「だってぇ、ゆーみんが留学してから
南葉っちとチヒロの間に何か芽生えるかと思ったけど
なぁーんも進展しないんだもん。つまんなぁ~い!」
鈴浦夕実がイギリスに留学してから何週間も経つ。
その頃、あたしたちは夏の文化祭に向けて放課後残って準備をしていた。
(蒼里学院は海が近いので、
それを利用して夏に文化祭を開き、
ビーチボール大会などの企画をする。)
「そして、当たって砕けろ!!☆」
デカばさみでダンボールを切り裂く。
「それ応援してるわけ?」
声が苛立ちを表す。
そんな簡単に言われても、あたしには出来ない。
このままでいいんだ。
南葉くんが誰かのものになっても
あたしはかまわない。
ただ…あたしを見捨てないないでほしい。
毎日会って話さなくてもいい。
たまに見るだけでも元気な声が遠くから聞こえるだけでもいい。
ただ…あたしという存在を忘れないでほしい。
あたしは南葉くんの何者でもない…
だけど、あのとき、彼はあたしを優しく抱きしめてくれた。
≪さびしかったんだね。ずっと・・・≫
あたしの弱さをちゃんと受け止めてくれた。
だから・・・
「あたし、帰る。」
「えっ!?」
このままでいい。
このまま普通に生活をするだけでいい。