Cry!Cry!Cry!
南葉くんとの距離を縮めず伸ばさずこの距離で。
「ミミもついてく!」
「いいよ。来なくて。」
あたしは教室を出て昇降口に向かう。
あたしは上履きをローファーに履き替える。
上履きを下駄箱に入れる時、ふと思う。
ずっと前…あたし上履き盗まれたっけ…。
それが遠く昔に感じる。
今では嫌がらせなんて全くない。
成長したんだなぁ…。
(と言っても、嫌がらせの仕業は美々だったけど。)
「あっ。」
校門でポツリ、
見慣れない制服の女子を見つける。
彼女はあたしを見て微笑んだ。
「お久しぶりです。」
ずっと前に病院で会った杖をついたポニーテールの女の子だ。
今は杖を持たずまっすぐと立っている。
足…治ったんだ。
「それじゃあ、これで。」
彼女は会釈をしてあたしに背を向ける。
「待って!」
あたしは彼女の肩をつかんだ。
「なんかあったの?」
さっき見たとき、彼女の目は充血していた。
あたしは彼女の前に立ち、かがんだ。
彼女は唇を噛みしめ震えていた。
「いえ…なにも…。」
「言って。言ったって損しないから。」
損はしない。
得もしないけど。
ふと彼女の助けになってみたいと思った。
彼女は小さな手で涙を拭う。
「私・・・彼氏にフラれちゃったんです・・・。」
泣く姿も彼女は奇麗だった。