Cry!Cry!Cry!
「泣きやんだ?」
中庭のベンチに座り、
あたしは彼女の顔を覗いた。
赤い目をタオルで隠し、
彼女はうなずく。
「っで、なんでフラレたの?」
「分かんないです…。」
分かんないって…
「中途半端な男だな。フラレて正解じゃん。」
「悠ちゃんはそんな人じゃないです!」
へぇ…悠ちゃんって言うんだ。
だけど、そんな事言われたって、
あたしは悠ちゃんに会った事ないしなぁ…。
「付き合って何年経つの?」
「1年2ヶ月…。」
彼女は即答だった。
「あー、1年越してるなら十分でしょ。
きっと飽きたんだよ。」
“飽きた”と言い方はまずかったと思ったら、
彼女は違う事に首を振った。
「悠ちゃんはそんな人じゃないです!」
・・・・・。
「それ…なんか買い被りすぎじゃない?逆に重いよ?」
彼女は息を止めるようにタオルで口をつぐむ。
そして、大きく息を吐いた。
「でも…好きなんです…
悠ちゃんが私の事をどんなに重く感じても…。」
そこまで…言うんだ。
そこまで…思うんだ。
あたしには到底無理だよ。
今まで人に嫌われ続けて来たから好きな人には嫌われたくない。
だけど、目の前に居る彼女はそれでもいいなら…。