Cry!Cry!Cry!
~Thihiro~
「ずっと一緒に居てくれる?」
叶いもしないことを聞いてしまった。
南葉くんははにかんでゆっくりとうなずいた。
あたしは罪を犯したかもしれない。
「南葉っちとはどう?」
たわいのない話の途中、
美々が“そういえば”と言って聞いてきた。
「知ってんだ。」
「なんとなく気付いてた。
チヒロの行動わかりやすいから。」
美々にバレてもあまり驚かなくなった。
美々には隠し事は通用しない。
「頭打って記憶が飛んでたみたい。
でも、全部思い出したみたいだよ。」
「そっ」と言って美々はパックのジュースを飲む。
「鈴浦さん…以外の記憶はね…。」
美々の動きが止まる。
「南葉っち、ゆーみんのこと思い出せないの?」
あたしは美々の目を見てうなずいた。
美々はあたしから目を移し窓の向こうを見つめる。
「まぁ、仕方ないじゃーん?
つか、鈴浦夕実は自業自得だと思うよ。」
美々はゴミ箱めがけてパックをポィっと捨てた。
「自業自得って・・・?」
パックは小さな音をたててゴミ箱に入った。
「んー、なんとなく。
やっぱ南葉っちとゆーみんって合わなかったんじゃん?」
美々は大きく伸びをした。
そうだったのかな・・・。
"合わなかった"それだけで事を片づけていいのだろうか。
あたしは教室の真ん中にぽつりと空いた空席を見つめた。
鈴浦夕実
ここ一ヶ月、本人があの席に座ることはなかった。