Cry!Cry!Cry!







~Thihiro~





「あー…ごめん。来れなくて。」



南葉君は首を振った。



「それはべつに気にしてない。


 でも、なんで演劇祭に来なかったか気になるの。」




こうゆうふうに、

むやみに人の過去に土足で入ってほしくない。





「迷惑掛けたくなかったんだよ。」



あたしはため息交じりで言った。



「へ?」



「あたしっていろいろ噂があるでしょ?


 だから、表に出ることを控えてたの。」



「そっか。気づかなくてごめんね…。」



南葉君は申し訳なさそうに小さく頭を下げる。



「ううん。大丈夫。」




そう言う事にしておいて。



あたしは人に探られるのが嫌いだから。



あなたにはあたしの表向きの善意(偽善)が相応しい。



あなたはあたしのような汚らしいものに触っては


その純粋な心がけがれてしまうのだから。







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