Cry!Cry!Cry!




「ゆーみんたちを脅かそうとして白い布をかぶってたの。


 それで足場を崩して谷底に落ちて・・・」



柊先輩の声は不安と焦りで震えていた。



あたしたちはぶっちょ先輩が落ちた谷底に向かう。



「ぶっちょ先輩の安否は分かってるんですか?」


「うん、たぶん…。ずっとユキヤくんが傍についているから。」


柊先輩の言葉に反応して健太先輩の足取りが速くなった。



「健太先輩そんなに急いだら…っ」


「うわぁぁっ!!」


ザザザッと音とともに健太先輩が消えた。



「健太ぁぁぁぁぁぁっっ!!!!」


あたしたちはその場に止まり懐中電灯で下を確認すると


元気そうな健太先輩が手を振っていた。



「おぉ~い!!柊が言ってた谷底ってここかぁ?

 谷底っつぅか低い谷だぞ?降りてこいよ。」


あたしたちは足元に十分注意して降りた。


予想してたのよりも低いけど


ここから落ちたら健太先輩みたいな柔軟力がない人じゃないと


怪我をするだろうな・・・。






「おぉーい!!!!こっちだぁ~!!」


遠くのほうからぶっちょ先輩の声が聴こえた。



あたしたちは走って向かうと


地面にあぐらをかいているぶっちょ先輩と


ぶっちょ先輩を心配するユキヤくんがいた。



「ぶっちょ大丈夫?」


「あー、平気、平気♪」


ぶっちょ先輩は目がへの字になって笑った。
(デカサンはどこかに落としたみたい。)



「大丈夫そうなら良かった…。」


ホッと胸を撫で下ろす一同。





「先輩…右腕どうしたのですか・・・?」


皆の後ろにいる照明係だったヒカルくんが低い声を出す。
(あたしからじゃ逆光でヒカルくんの表情が見えない。)


ヒカルくんが懐中電灯で照らすその先には


何か鋭いもので切られたように出血している


ぶっちょ先輩の右腕だった。


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