Cry!Cry!Cry!
星が丘学園
~Yumi~
「そういう事で、ぶっちょは右腕が完治するまで
一ヶ月、コーチにまわってもらうから。」
朝の基礎錬が終わり、柊先輩が部員を集めてミーティングを開いた。
ぶっちょ先輩は「りょーかいっ☆」と左手で敬礼する。
でも、ぶっちょ先輩と健太先輩のバッテリーがいて蒼里の野球が務まる。
それなのに、正捕手で蒼里の頭脳とも言えるぶっちょ先輩が抜けるってことは・・・
「ぶっちょが出れない代わりにユキヤくんに正捕手をやってもらうから。」
ユキヤくんは一歩前に出た。
皆はどうか彼の実力を知っているのかは分からないけど
あたしは一回もユキヤくんのプレーを見た事ない。
小学の頃からキャッチャーをやっていたらしいけど肩を壊し長いブランクがある。
でも、肩が治った今でも部活にはあまり顔を出さない。
だから、あたしはちょっとユキヤくんを投入したのが心配。。。
「そういえば、ブランクあるらしいじゃないの?大丈夫?」
「ブランクなんて関係ねぇよ。俺は俺なりのリードをする。」
柊先輩に堂々とタメ口で言うユキヤくん。
でも、その目は真剣だった。
「俺は拒否するけどな。」
腕を組んでプイっと子供がへそを曲げるように意地を張る健太先輩。
「なんでこんな奴とバッテリー組まなきゃいけねぇんだよ。」
「俺は大歓迎ですよ。でも、俺のリードに首を振らせませんから。」
うわぁ…またもや犬猿の仲を炸裂。
二人の間に飛び散る火花。
こりゃバッテリーなんてムリだよ…(T T)