white memory
「これ、渡しとくね。」

そう言って、あなたは手を差し出した。
何のことかわからずにきょとんとしてる私を見て、軽く顎をさわるあなた。


それ、困ったときのクセだよね。
あなたは気づいてないかもしれないけど。私はもう覚えちゃったよ。

そんなこと考えてたら、自然と笑みがこぼれた。


「なに、それ?」

ちょっと首を傾げて受け取ったのは、銀色の鍵。


「いつでも来ていいからね。」

ここで“わかってる”なんて言ったら、かわいくないんだろうな、きっと。

「うん、ありがと。」

にっこり笑って応えた。
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