小悪魔は愛を食べる
* * *
窓の外は雨。
薄暗い旧校舎の使われてない教室で、壱弥はじっとり体に張り付く湿気と、べたべた体に絡みつく柔らかい肌に眉根を寄せた。
気持ちが悪い。体は気持ちいいのに、ひたすら何か気持ち悪かった。
脳の回路が焼ききれそうなくらい、頭に血が上ってる。気持ち悪い。どうしてこんな女を抱かなければいけないんだ。気持ち悪い。
それでもこうして欲情してしまうのだから、本当に、男とは心底面倒な生き物だ。と壱弥は心の中で毒づく。
さっさと済まそうと、キスもせずにスカートの中に手を入れて布地の薄いレースの下着をずり下げてぬかるんだ箇所を指で探った。
女性特有の器官が濡れているのがまた気持ち悪くて、込み上げる吐き気を抑えるのがやっとだ。
まるで口の中に嘔吐物を含んだまま行為を続けているような気分で、壱弥は制服のズボンのベルトを緩めてジッパーを下げた。
「瀬川くんっ……ま、待ってよ…っ」
「なに?ああ、ちゃんと避妊はするから黙ってて」
「そ、そうじゃなくて」
「違うの?じゃあ、なに?」
まさか今更処女だから優しくしろとか言うつもりかと壱弥は目を細めて少女を見た。
胸がでかい。腰も括れて、スカートから伸びる足はすらりと滑らかで細いのに柔らかくてこれが美脚というやつかと感心するくらい、スタイルのいい少女だと思う。
だが、それだけだ。柔らかい体も甘い香水の匂いも、全て芽衣でなければ気持ち悪いだけだ。
あの細い頼りない体に、こうやって触れられたら。そしたら、満たされるのだろうか。この渇きは、焦燥感はどうにかなるのだろうか。
そうならない為に、こうして適度に処理をしているのだということを今更ながらに思い出して、馬鹿馬鹿しさに壱弥が口だけで笑った。