小悪魔は愛を食べる

「とりあえず、服脱がして何枚か写真とっとこうぜ。そしたらチクれねーだろうし、諦めも早くつくだろ」

「さんせー。なら私が記録係ってことで。ケータイでいいよね」

「やだっ」

男の手が足を掴んで、捲くれたスカートの中に手を入れてくる。体を起こして抵抗しようと手を伸ばすが、髪を引っ張れて後ろに転がった。

両腕と口を塞がれて、仰向けのまま床に貼り付けられたのに悔しくて涙が滲んだ。

女二人、男一人。頑張れば逃げられる。逃げられる。どう、頑張れば、逃げられる?

疑った瞬間、芽衣の中で何かが折れた。腕でも足でも肋骨でもなんでもなくて、心が折れたのだ。涙が溢れた。どうしてこんなに、わたしは弱い?

お願いだから、誰か。愛してるって、誰か、言って

大人しくなった芽衣に、乱暴な手が伸びた。

制服のシャツが破られて、キャミソールが露出する。スカートが引き摺り下げられて、むき出しの腰から背中を撫で擦られた。

男の手が、肌の上で止まる。幾度かソコに触れて、「なんだ、これ」と声が上がった。

秘密が、あった。誰にも知られたくない秘密がソコに隠れていた。薄い皮膚の上、消せない過去が焼きつけられたソコに、触れたのは、壱弥だけだったのに。


ねぇ、イチ。やっぱりこんな世界、生きていく理由なんてみつからないよ


こめかみを伝って床に零れた涙だけが温かくて、優しかった。


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