【短集】虹
「すみませんねー」
「可愛くねぇ奴」
うっさいなぁ!!
そのまま雑巾をかけていると、手がジンジンしてきた。
冬なので、霜焼けになりそうだった。
……その時。
「おい、手。
大丈夫かよ。」
奴がそう言って、
あたしの手をとった。
「っ、」
冷たい手が
暖かい手に包まれる
「大丈夫だってば!!
は、離してよ!?」
静まれ心臓!!!!!
「もーいっか」
…………は?
「何が…?」
そう言うと
奴はニヤリと笑い、
「掃除やめて、
どっか行かねぇ?」
「はっ!?
何言ってん…」
あたしの言葉が終わらない内に、奴はあたしの手をとったまま走り出す。