妹の恋人は姉の彼氏の従弟
手の中で携帯が震えた

二段ベッドの下の段で
横になっていた私は
寝っ転がったまま
携帯の液晶を見た


『加藤俊』

先生からだった


「も、し…もし」

「わるい、寝てた?」

「え?」

「声がかすれてたから」

先生の優しい声が耳に入ると
心に温かい感情が流れてきた


ホッとする

「寝てない」

「なら、泣いてた?」

「そう…でもない」

「無理するな」

「頑張らないと…って思うんだ
自分で決めたことだから
……でも思うようにいかなくて」

自然と口から
自分の思いを先生に伝えていた

「一人で乗り越えないとなのに
一人がつらくて、寒い」

「これ、仕事用の携帯なんだ
すぐに私用の携帯からかけ直すから
いいかな?」

「え?」

「校長がさ
五月蠅いんだよな~
使用料金がなんだ、かんだって
だからちょっと待ってて」

私は電話を切った

すぐに電話がかかってくる
知らない番号から

でも
先生からだってわかった

先生の私用の携帯番号

生徒は知らない先生の番号

プライベートで使う番号だ
< 125 / 133 >

この作品をシェア

pagetop