妹の恋人は姉の彼氏の従弟
数秒の後に
電子音が鳴ると

海堂は起き上がって
部屋の電気をつけた

「36.8度か」

上から覗き込んだ
海堂彰吾が呟いた

「着替えたら
寝た方がいい」

「え? シャワーを…」

「また体が冷えて
熱が出る」

「だけど…」

「入るなら風呂だ」

「めんど……」

「すぐ入れるようにしてあるから」

え?
私は驚いた顔をして
海堂を見た

「新しいパジャマも
買っておいた」

「は?」

「替えのパジャマがないって
花音さんが言ってたから
ジョギングついでに
買ってきた」

「はあ……」

私は海堂が手渡してくれた
ピンクのパジャマを受け取った

海堂って世話好きなのか?

気がきくのか?
よくわからない

「あ、お金…」

「いらない
俺の金じゃない」

「誰の?」

「廉兄の。
財布が居間に置きっぱなしだったから
使った」

「はい?」

それって…
いけないことではないの?

「体が冷える
さっさと入ってくるといい」

「はい」

私は首を傾げたまま
部屋を出て行った
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