妹の恋人は姉の彼氏の従弟
家に帰ると
誰もいなかった

お姉ちゃんも海堂彰吾も

廉人さんは仕事人間だから
いないのは
わかるけど

お姉ちゃんも海堂彰吾も
いないのは
なんか違和感がある

暗い部屋にずかずか入っていく

今に鞄を置くと
ソファに座った

ぼーっとする

5分たっても10分たっても
誰も帰ってこない

どうしたのだろう

海堂彰吾は
先に帰っているはずだ

部活が女バスより
早く終わっているのを
私は知っているから

30分
暗い部屋で過ごしていると

居間のドアがあいた

「暗い」

ジャージ姿の海堂彰吾が
入ってきた

タオルで顔を拭いている

いつものジョギングを
してきたのだろう

海堂の顔を見た私は
ほっとした

「おかえり」

「熱、出た?」

「いや…
どうして?」

「固まってるから」

そうだ
誰もいなくて
寂しくなってたんだ

そんなの
海堂に知られたくない
< 53 / 133 >

この作品をシェア

pagetop