妹の恋人は姉の彼氏の従弟
私は立ち上がると
鞄を持った

「さっき帰ってきたばっかりなんだ
部活で疲れてたから
ぼーっとしてただけ」

「本当に?」

疑わしそうな眼で
海堂が見る

「何で?」

「寂しかったんでしょ」

「違う」

「顔に書いてある」

「書いてない」

私は海堂の横を
通り過ぎて
自分の部屋に行こうとした

でも
海堂に手首を掴まれた

「一緒に風呂に入る?」

「入らない!」

「どうして?」

「答えがわかりきってる
質問をするな!

あんたは男だ!
私は女だ

別々に入るのが
普通だろ」

「廉兄と花音さんは
一緒に入ってる」

「あれは…例外だ!
恋人同士だから
一緒に入る

私たちはただの同居人であり
一緒に入る理由はない!」

「同じ布団で寝てるし
着替えだって見てる

なんで風呂だけ
駄目なの?」

「見てるのか?
私の着替えを!」

「うん、見てる」

「なら、もう見るな!」

「嫌だ」

海堂彰吾はにっと
笑うと白い歯を見せた

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