乾いた瞳
「っしゃー!取れた!」
こ。こいつ。
あたしの欲しかったくまさんのストラップ一発で取りやがった!
「えーずるいっ!あたし欲しかったのに!」
「ばーかっ」
「……へ?」
ぽいっ、と当たり前のようにくまさんのストラップが手渡された。
「お前のために取ってやったんだから礼くらい言えよなー」
う……嘘。
「あ……ありがと」
陽日輝は驚いて目を丸くしているあたしを見て、どこか満足そうに微笑んだ。
あたしには秘密がある。
「よっし!みんなでプリ取るよ!」
「何言い出すんだよ恋叶、こんなイケメンの俺にいっしょの写真に写れと?
みんな、金はもちろんくれるよね?プリクラ一回につき一人三十万くらいかな」
「はわわ……爽楽はそんな金は持っていないのです……」
誰にも言えない秘密。
言ってしまえば、たちまち5人の関係は崩壊する。