乾いた瞳



陽日輝の声ではっと我にかえった。



「おら、ぼーっとしてないで行くぞ、咲来!」



そう。あたしは。



「う…うんっ」



意地悪だけど優しい、無邪気な笑顔を見せる──。



陽日輝のことが好きだ。



◆ ◆ ◆



「あっははは!このプリの陽日輝、ブタみたーい!」


「んだとお!?咲来だってタコみてーな顔してんだろ!」



5人並んで歩く、いつもの帰り道。夕焼け色があたし達を包んでいる。


あたしたちの関係は、小さいころから何も変わらない。

どうか、これからも変わらないでほしい。



「ぎゃははは!咲来、タコー!それに偉月きもーいっ!かっこつけ!」


「あぁん!?おい恋叶、俺のキメ顔になんつーこと言ってんだよ?」


「爽楽、眼鏡!爽楽、眼鏡!わはははは」


「………………恋叶、笑いすぎなのです。私はいつでも眼鏡です……」



毎日毎日笑いが絶えない会話です、はい。





ふと、目にとまった。

プリクラに書かれた、"ともだち"の文字。


ふっと口元が緩んだ。


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