乾いた瞳



◆ ◆ ◆



「もうすぐバレンタインっ♪

どろどろと血生臭い香り漂う、女の決戦日でもあり男の競争の日でもある

それぞれの愛と想いが交錯する楽しい一日なんだよっ☆」


「バレンタインに血は必要ありません」



何だかとっても恐ろしいことを満面の笑みで言っている恋叶にあたしはノリツッコミをした。


いつもの学校。
いつもの教室。
いつもの五人。

何も変わらない。
退屈だけど幸せな毎日。



「ま、あたしらには関係無い日なんだけどねーっ」

恋叶がぐてーっと机に突っ伏した。


「5人とも彼女彼氏無し。好きな人無し。寂しいねぇ…」

しみじみと言う爽楽。

改めて言われてみると本当にあたしら寂しいな。



「おれ……毎年疑問があるんだ……」

「なぁに?偉月。」

突っ伏していた恋叶が軽く顔を上げた。


「……なぜ俺は毎年チョコをもらえないのか……イケメンなのに……。

(まあお前らには義理チョコもらえるけど……)」


「「「…………」」」



まぁこんな感じで。



もうすぐバレンタイン。恋する女の子が好きな男の子に想いを伝える日。



好きな男の子…………。



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