乾いた瞳
『陽日輝のことが好き』
言えたら、どんなにいいだろう。
でも言ってはいけない。
この五人の関係を壊したくない。
ずっと友達。幼馴染み。
五人がばらばらになるのは嫌だ。
でも。もしも。
陽日輝が───。
『俺も咲来が好きだよ』
「!!」
馬鹿馬鹿何考えてんのあたし!
自分でも顔が紅潮していくのが分かった。
「なーに百面相してんだよっ」
先程まであたしの妄想に登場していた人物が突然顔をずい、近付けてきたので、
あたしはがたたっと後退りしてしまった。
「え……ひゃ、ひゃくめ…?」
……してたのかな?
黙り込むと、陽日輝が真剣な瞳で問いかけてきた。
「……まさか好きなやつ……いる、とか……?」
「!?」
それはあなたです!
とは死んでも言えません!
「うっそー☆咲来、好きな人いるの!?誰、誰!?」
「……俺たち差し置いて青春か?あぁん?イケメン偉月くんは許さないぞ?」
「さ……咲来…………!」
他の三人も、一斉に飛び付いてきやがった。
こういう時だけ興味津々になるのは、やめていただきたい。