乾いた瞳
「環境を守るとか、自然を守るとか……馬鹿馬鹿しい。
結局はそんなの、自分たちのため。人間の住みかを保持するため。
ひとは、自分のことしか考えてない。」
私は一息ついてから、
「そう思わない?」
目を細め、妖艶に笑った。
「君は面白いことを言うね」
男も、のんきに微笑んだ。
そして問うた。
「君は人間が嫌い?」
「嫌いよ。特に自分がね。」
「はは、そっか。」
即答すると、また男は気の抜けたように笑う。話していると、だんだんいらいらしてきた。
「俺は好きだけどな、人間。」
男はまるでそこにあるもの全てを愛しむような瞳をしている。
そういうところも気に食わない。
きっと私とは真逆の生き物なのだろう。
そして、男の次の言葉に、私は一瞬言葉を失った。
「それから、君のことも。」