青春ing
――みんなの進路もほとんど決まった頃、渋沢と真奈瀬が同じ大学に受かったという話が耳に入った。噂好きの女の子達は、“カップルで同じ大学なんて”とはしゃいでいたけど、“付き合ってねーよ”と、心の中で毒を吐く。でも、もしかしたら今頃、その子達の噂話も本当になっているかもしれないけど。
真奈瀬が渋沢を好きだっていうなら、潔く諦めようと思う。とにかく気持ちを伝えないと、前に進めない。そう思って、いつも一緒に居るという、二人の姿を探して歩いた。
「……何だよ、いねーじゃん……」
てっきり、廊下か二人きりになれる所に居ると思っていたのに。うろうろしていたら、ようやく目的の奴らを発見した。
教室のど真ん中だなんて、完全に盲点だった。周りの様々な視線にはお構いなしに、渋沢は真奈瀬に話し続けている。真奈瀬はといえば、笑顔で聞いてはいるものの、時々困ったように、友達の方に視線を送っている。
これは助けてやるべきだよなと、そう思った時。ライバルの声が、やけにクリアに聞こえてきた。
「真奈瀬ちゃんはさ、水族館とか好きかな?良かったら、一緒に……」
――“真奈瀬ちゃん”、だと?頭がカッとなった次の瞬間には、俺は二人に向かって駆け出していた。
真奈瀬と渋沢の間に割って入ると、女の子の方が、特に驚いたような顔をする。教室にい居た奴らも何があったんだと騒がしくなったけど、気にしている暇はなかった。
「……お前さぁ。真奈瀬のことが好きなんだったら、そいつが困ってることくらい気付いたら?つーか何なんだよ、“真奈瀬ちゃん”って。」
「……何だよ、ヤキモチかよ。感じ悪いな。」
「あーそうだよ、ヤキモチだよ。お前なんかが真奈瀬の隣にいるのは、すっげームカつく!」
「ふ、二人共、落ち着いて……!」
真奈瀬が慌てて俺達を引き離そうとするけど、お互い一歩も譲らない。しばらく睨み合っていたけど、俺はようやく、口を開く決心が付いた。
――黙って他の人のものになるのを見ているなんて、俺には耐えられない。まずはライバルと向き合わないといけないんだと、そう思ったから。
真奈瀬が渋沢を好きだっていうなら、潔く諦めようと思う。とにかく気持ちを伝えないと、前に進めない。そう思って、いつも一緒に居るという、二人の姿を探して歩いた。
「……何だよ、いねーじゃん……」
てっきり、廊下か二人きりになれる所に居ると思っていたのに。うろうろしていたら、ようやく目的の奴らを発見した。
教室のど真ん中だなんて、完全に盲点だった。周りの様々な視線にはお構いなしに、渋沢は真奈瀬に話し続けている。真奈瀬はといえば、笑顔で聞いてはいるものの、時々困ったように、友達の方に視線を送っている。
これは助けてやるべきだよなと、そう思った時。ライバルの声が、やけにクリアに聞こえてきた。
「真奈瀬ちゃんはさ、水族館とか好きかな?良かったら、一緒に……」
――“真奈瀬ちゃん”、だと?頭がカッとなった次の瞬間には、俺は二人に向かって駆け出していた。
真奈瀬と渋沢の間に割って入ると、女の子の方が、特に驚いたような顔をする。教室にい居た奴らも何があったんだと騒がしくなったけど、気にしている暇はなかった。
「……お前さぁ。真奈瀬のことが好きなんだったら、そいつが困ってることくらい気付いたら?つーか何なんだよ、“真奈瀬ちゃん”って。」
「……何だよ、ヤキモチかよ。感じ悪いな。」
「あーそうだよ、ヤキモチだよ。お前なんかが真奈瀬の隣にいるのは、すっげームカつく!」
「ふ、二人共、落ち着いて……!」
真奈瀬が慌てて俺達を引き離そうとするけど、お互い一歩も譲らない。しばらく睨み合っていたけど、俺はようやく、口を開く決心が付いた。
――黙って他の人のものになるのを見ているなんて、俺には耐えられない。まずはライバルと向き合わないといけないんだと、そう思ったから。