青春ing
「……進路が違ってても関係ねーよ。どんなに離れてても、俺はこいつを笑顔にできる。それだけは、お前には負けない自信があるから。」
真奈瀬がモデルをしている俺が好きだと言ってくれたから、ずっと頑張ってこられた。真奈瀬の笑顔があったから、きっとこの仕事を続けられたんだと思う。
たとえ真奈瀬とお前が恋人同士になったとしても、真奈瀬の一番の理解者は俺だ。俺の言葉を聞いて、渋沢はしばらく黙っていたけど、やがてゆっくりと口を開いた。
「……そっか。だったらおれは、一生おまえには敵わないのかもしれないな。」
「……意外とあっさり引いたな?」
「あぁ。だって、最初から勝ち目ないだろうなぁって思ってたし……だって石川、谷口のことしか話さないんだもん。」
「渋沢君!そんなことないよね!?私、もっと色んな話……」
「おれが谷口以外のこと話すと、ただ相槌打つだけだっただろ。つーか、谷口も石川も鈍感だよなぁ。屋上にでも行って、話し合いしてくれば?」
寒いだろうけど、と付け加えて、渋沢が俺達の背中を押す。こいつ、意外と良い奴だったのかもしれない。昨日の敵は今日の友ってのも、あながち間違いじゃないのかもしれないなと思った。
「……おー、ありがとな!行くぞ、真奈瀬。」
「えっ、でも、授業が……!」
「大丈夫、何とかなる!」
そんな根拠は、何処にもなかったんだけど。俺は、真奈瀬の手を引いて走り出した。
――こんなの、小さい頃にしたっきりだったな。妙に懐かしい気持ちになりながら、重い鉄の扉を開ける。肌寒い屋上には、俺と真奈瀬の二人だけだった。
真奈瀬がモデルをしている俺が好きだと言ってくれたから、ずっと頑張ってこられた。真奈瀬の笑顔があったから、きっとこの仕事を続けられたんだと思う。
たとえ真奈瀬とお前が恋人同士になったとしても、真奈瀬の一番の理解者は俺だ。俺の言葉を聞いて、渋沢はしばらく黙っていたけど、やがてゆっくりと口を開いた。
「……そっか。だったらおれは、一生おまえには敵わないのかもしれないな。」
「……意外とあっさり引いたな?」
「あぁ。だって、最初から勝ち目ないだろうなぁって思ってたし……だって石川、谷口のことしか話さないんだもん。」
「渋沢君!そんなことないよね!?私、もっと色んな話……」
「おれが谷口以外のこと話すと、ただ相槌打つだけだっただろ。つーか、谷口も石川も鈍感だよなぁ。屋上にでも行って、話し合いしてくれば?」
寒いだろうけど、と付け加えて、渋沢が俺達の背中を押す。こいつ、意外と良い奴だったのかもしれない。昨日の敵は今日の友ってのも、あながち間違いじゃないのかもしれないなと思った。
「……おー、ありがとな!行くぞ、真奈瀬。」
「えっ、でも、授業が……!」
「大丈夫、何とかなる!」
そんな根拠は、何処にもなかったんだけど。俺は、真奈瀬の手を引いて走り出した。
――こんなの、小さい頃にしたっきりだったな。妙に懐かしい気持ちになりながら、重い鉄の扉を開ける。肌寒い屋上には、俺と真奈瀬の二人だけだった。