青春ing
「佐桜花さん、おはようございます!朝練お疲れ様でした!!」

「特に最後の一投には痺れました!スポーツドリンク買ってきたんでもらって下さい!!」

「あの、これ……良かったら食べて下さい!私の手作りクッキーなんです!!」



 とびきりの笑顔で挨拶されて誉めちぎられ、差し入れをもらい、他の二人には次の大会のお供にして欲しいということで、共同制作らしき手作りのお守りを渡された。な、何かサッカー部やバスケ部の男子達の視線が痛いような……そう思ったけど、応援してもらえること程嬉しいことはないので、礼儀として感謝の気持ちを伝える。



「えっと、いつもありがとう!真樹ちゃんと夕湖ちゃんと梨沙子ちゃんと……奈々ちゃんと良美ちゃんだよね?」

「えっ!?」

「あれ、違ったっけ?いつも応援に来てくれてると思ったんだけど……」

「はい、そうです!わ、私達の名前覚えてて下さったんですね!!」



 下級生達はキャーキャー叫んでいて、頬を赤らめている子まで居る。ちょっと、あたしは男かよ。内心ツッコんでいる間に、授業開始の予鈴が鳴る。彼女達は、口々に別れの言葉を告げて走り去っていった。
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