青春ing
「そういえば、何で香子もあの子とアドレス交換したの?」

「ん?何か役に立てたらと思って。」



 ニコニコと笑う相方の意図は掴めない。「ふーん」と返して席に着くと、英語の授業が始まった。受験もあるし、頑張らなきゃな。そう思って、50分間集中する。その後も3限、4限と授業をこなして、やっと昼休みになった。香子の隣の机にお弁当を持って移動した所で、あたしに声をかける人が現れた。



「山沖さん、ちょっと良い?」

「あ、真境名(まじきな)さん。」



 生徒会長の真境名せりさん。胸のあたりまで伸ばした黒髪ときちんとした制服の着こなしがとても清楚で、切れ長の瞳が爽やかで知的。みんなからの人望も厚い、美人な人だ。彼女は1年の時からあたしのファンだと公言していて、試合にも度々応援に来てくれている。



「この間はお疲れ様。泉野のソフト部と試合したんですって?男子相手によくやったって、間宮先生が。応援に行けなくてごめんなさいね。」

「いやいや、とんでもない!あの時は差し入れのドリンクとおにぎり、ありがとうございました。」



 お礼を言うと、彼女は綺麗に微笑する。途端に男子達が頬を染めた。
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