青春ing
 更衣室で着替えると、一旦全員で体育館に集合。サッカーを選んだ在と別れて、バスケを選択したクラスメイトと共に、先生の注意事項を聞いた。

 女子も交えてやるので、男子は自分達だけでパス回しをしないこと。得点も大事だが、みんなが楽しむことを一番大切に。怪我には気を付けて、思いきりやれということだった。

 見た所、オレ達のチームのバランスは良い。男子はサッカー部の浅井に、陸上部の日吉。女子はテニス部キャプテンの浜野に、バレー部の山田。オレは一応、去年までバスケ部だった。辞めたのは、受験に専念するためだ。顧問も部員達も分かってくれたけど、部活がなくなってからの生活は何となく味気ないような気がしてならない。オレが今数独にハマっているのは、もしかしたら、バスケに代わる何かを探していたからかもしれない。



「安海ってキャプテン候補だったんだろー?ちょっと勿体ないよなぁ、辞めちゃったのって。」



 お調子者の浅井が、オレの肩に腕を回してくる。それを聞くと、他のメンバーもうんうんと頷いた。馴れ馴れしいなと感じながらも、「まぁ、自分で決めたことだからな」と返す。オレには今、良い大学に入ることが一番近い目標なのだ。
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