青春ing
「佐桜花さんと西野先輩って、本当に仲良しなんですね!何か、見てて嬉しくなります。」



 和屋君はそう言って、ニコリと笑う。「そりゃそうよ!だってウチら、小学校のジュニアチームからの付き合いだからね」と何故か自慢げな香子に「良いなぁー!」と返す彼は、やっぱり小動物みたいだ。後ろに尻尾でもあるんじゃないの……?



「ハハハ、羨ましいでしょ!和屋君も野球部か何かだったら、佐桜花と一緒に登下校できるのにね。」

「そうなんですよー……俺、家の事情で部活には入れなくて。ちょっと残念です……」

「そういえば、ちっちゃい弟が居るんだっけ?大変だよね、年の離れた兄弟が居ると。」



 え、あたしそんなこと聞いてないんだけど。和屋君ってパッと見は弟キャラだし、一人っ子か末っ子だと思ってた。この二人、いつの間にそんなに親しくなったんだろう。置いてかれたみたいで、ちょっと切ないじゃんか……



「ええ、まぁ……幼稚園の送り迎えとか母親の手伝いとか、結構やることあるんですよねー。でも、基本的に面倒見るのは好きだから、全然苦じゃないです!」

「お、将来良い旦那になりそうじゃん。佐桜花、捕まえとかなくて良いの?」

「……ほっといて下さい。」



 何なのさ、人をほったらかしにしといたクセに。和屋君も和屋君で、さっきはあたしと『おお振り』の話題で盛り上がってたのに……って、ガキかあたしは。構って欲しいガキんちょか。

 呼吸を落ち着けて、自分を取り戻す。そういえば、和屋君は何でここに来たんだろう。
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