青春ing
「健ちゃーん!ねぇってばー!」

「……勝手にくっつくな。許可してない。」

「許可って必要なの?そんな話聞いたことないけどー。」



 ――こんな時だけ、ちょっと馬鹿が抜けたような切り返しするなよな。あぁ、苛々する。

 腕に絡み付いてくるのが鬱陶しいと思いつつ、意外と胸があるんだ、などと考えてしまって自己嫌悪。何をやってるんだ、オレは……



「……勉強の邪魔だ、帰れ。」

「健ちゃん、そんなに勉強ばっかしてるとハゲちゃうよ?あと、ストレスも!」



 ここにシワ寄ってること多いよねー、とオレの眉間を人差し指で突く井上。誰のせいだ、誰の。しかも、オレがハゲようがハゲまいが、お前に関係ないだろうが。

 最後にブチキレてやろうかと思った瞬間、授業開始のチャイム。まったく、何なんだこのタイミングは。オレの怒りを知る由もないだろう井上は、笑顔満開で「じゃあ、またねー!」と去っていった。

 ――あぁ。オレの中に火山でもあったら、間違いなく噴火してるんだろうな。
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