青春ing
「……くん!安海君ってば!!」
「え……あぁ、和田か。」
「もう、何回も呼んだのよ?」
「ごめん、ボーッとしてた。何?」
「あのね、この前良い本見つけたの。良かったら、今度貸すよ?」
「あー……しばらくは良いや。今、家庭教師的なもので忙しくて。」
最近は、専ら在と井上の勉強を見てやることに時間を費やしていた。他人に物を教えることも勉強の一つだと気付いてから、前より熱心に勉強会を開いてやるようになった気がする。
先日は井上の家にお邪魔して、井上の妹も交えた四人で参考書を囲んだ。飲み込みの早い最年少の少女が、姉とその友達を見ながら、「安海さん、この人達本当に高3なんですか?」と呆れていたことが、記憶に新しい。
「……それって、井上さん達のこと?」
「あぁ、まぁ。あいつら、成績ヤバかったから。」
「他人思いな所はとっても良いと思うけど……安海君、何か変わったね。」
何処となくムッとした表情の和田が、「またオススメあったら教えて」と去っていく。何なんだ、一体。何で不機嫌になる必要があるんだ。全く分からない。
そうこうしている内に授業が始まり、数学教師の声が教室内に響く。指名されて正解を口にした在に、みんながどよめく。先生は「おっ、安海のお陰か?」と、何だか嬉しそうだった。
夏休みに突入すると、オレ達の勉強会は本格化した。学校の夏期講習の予習・復習がメインで、プラス参考書の問題もやる。その甲斐あって、在も井上も大分受験生らしい顔付きになってきたような気がする。
「ねぇ!また今度家おいでよ!」
「いいねー!琥珀ちゃん家、キレイだし落ち着くし!」
「在、少しは遠慮しろよ。井上、良いのか?」
「うん、来て来て!翠ちゃんも二人に会いたがってるし!」
井上の妹曰く、“たまには姉に息抜きさせてやってくれ”らしいので、菓子でも持っていくことにするか。暑いから、ゼリーやジュレなんかが良いかもしれないな。そんなことを考えている自分は、和田が言ったように、確かに変わったのかもしれない。でも、個人的には良いことだというような気がしていた。
「え……あぁ、和田か。」
「もう、何回も呼んだのよ?」
「ごめん、ボーッとしてた。何?」
「あのね、この前良い本見つけたの。良かったら、今度貸すよ?」
「あー……しばらくは良いや。今、家庭教師的なもので忙しくて。」
最近は、専ら在と井上の勉強を見てやることに時間を費やしていた。他人に物を教えることも勉強の一つだと気付いてから、前より熱心に勉強会を開いてやるようになった気がする。
先日は井上の家にお邪魔して、井上の妹も交えた四人で参考書を囲んだ。飲み込みの早い最年少の少女が、姉とその友達を見ながら、「安海さん、この人達本当に高3なんですか?」と呆れていたことが、記憶に新しい。
「……それって、井上さん達のこと?」
「あぁ、まぁ。あいつら、成績ヤバかったから。」
「他人思いな所はとっても良いと思うけど……安海君、何か変わったね。」
何処となくムッとした表情の和田が、「またオススメあったら教えて」と去っていく。何なんだ、一体。何で不機嫌になる必要があるんだ。全く分からない。
そうこうしている内に授業が始まり、数学教師の声が教室内に響く。指名されて正解を口にした在に、みんながどよめく。先生は「おっ、安海のお陰か?」と、何だか嬉しそうだった。
夏休みに突入すると、オレ達の勉強会は本格化した。学校の夏期講習の予習・復習がメインで、プラス参考書の問題もやる。その甲斐あって、在も井上も大分受験生らしい顔付きになってきたような気がする。
「ねぇ!また今度家おいでよ!」
「いいねー!琥珀ちゃん家、キレイだし落ち着くし!」
「在、少しは遠慮しろよ。井上、良いのか?」
「うん、来て来て!翠ちゃんも二人に会いたがってるし!」
井上の妹曰く、“たまには姉に息抜きさせてやってくれ”らしいので、菓子でも持っていくことにするか。暑いから、ゼリーやジュレなんかが良いかもしれないな。そんなことを考えている自分は、和田が言ったように、確かに変わったのかもしれない。でも、個人的には良いことだというような気がしていた。