青春ing
「ちょっとあんた達、美隼が嫌がってるの分かんないの!?」

「相変わらず同性にモテてんだー。へぇー。」

「あぁ美隼さん……セーラー服も素敵だわ……」



 ――若干一名、変な子が居るけど気にしない。目の前に居る男共に比べたら可愛いもんだよな。

 喋った順に、幼なじみの石川真奈瀬(まなせ)、その友達の山中理津子と藤野(ふじの)れみ。れみちゃんは俗に言う“腐女子”という部類に入るらしいけど、好感は持てる優しい子だ。さっきの男達と自分との会話を聞いて、怪しげな妄想を働かせてないと良いんだけど。

 真奈瀬達がやってきた途端、散っていったブタとプレイボーイ。我儘で強引な勘違い野郎共も、我が幼馴染みには敵わないようだ。



「美隼、大丈夫!?何か変なことされなかった!?」

「●●(ピーッ)とか××(ピーッ)とかされたんじゃない?こわー。」

「されてねぇよ!つーか、りっこは黙れ!れみちゃんが喜ぶだけだっつーの!!」



 れみちゃんは、りっこが発した18禁ワードに「フフフ……」と気味の悪い笑みを浮かべる。ちょっと、流石に引いちゃうんだけど。そう言える筈もなく、そっと溜め息をこぼしたその時。ドタドタという足音に身構えた瞬間――自分の体に、何かがグワッと覆い被さってきた。
< 8 / 129 >

この作品をシェア

pagetop