青春ing
「……和屋君ってさ、凄いよね。」
「え?」
「お母さんみたいに料理もできるし、弟の世話もしてさ。遊びも勉強も、ちゃんと両立してるんだよね。
……あたしは、ソフトを取ったら何にも残らないや。」
自分より年下で、背も小さいのに。この男の子は、あたしよりも随分と大人びて見える。無邪気な笑顔だけは年相応で、そのギャップが、やけに胸を締め付けてきた。
――あたしなんかがこの子と一緒に居るなんて、恥ずかしい。女の子らしくなれない上に、自分らしささえ、まだはっきりとは分からないのに。
「……そんなこと、言わないで下さいよ。」
重く悲しいトーンが、耳に響いた。ハッとして、和屋君の顔を見る。泣きそうに歪んだ眉に、ズキリと心が痛んだ。
「俺は、楽しそうにボールを投げたり、チームの皆さんと一緒にグラウンドを駆け回って笑ったりしてる佐桜花さんを見て好きになったのに。
先輩は、自信なさすぎだと思います。誰よりも努力してるのに、理想にはまだまだ遠いからって、自分のことを過小評価してると思います。」
――そんな風に誉められたことは、きっと一度もなかった。和屋君は、一体いつからあたしのことを知ってるんだろう。まるで、何年も前からずっと見てきたような台詞だけど。
「自分を認めてやることも、必要ですよ。佐桜花さんは、苦手なことや嫌なことから逃げない人じゃないですか。一年近くかけて投球フォームを改善したり、こうやって、料理に挑戦してみたり。
俺、去年の夏の大会で見てから、ずっと佐桜花さんのファンなんです。正直、ここに入学してからびっくりしました。あの頃憧れてた人が、もっと凄い人になってるなんて。だから、自信持って下さい。持ってくれなきゃ、嫌なんです。」
「え?」
「お母さんみたいに料理もできるし、弟の世話もしてさ。遊びも勉強も、ちゃんと両立してるんだよね。
……あたしは、ソフトを取ったら何にも残らないや。」
自分より年下で、背も小さいのに。この男の子は、あたしよりも随分と大人びて見える。無邪気な笑顔だけは年相応で、そのギャップが、やけに胸を締め付けてきた。
――あたしなんかがこの子と一緒に居るなんて、恥ずかしい。女の子らしくなれない上に、自分らしささえ、まだはっきりとは分からないのに。
「……そんなこと、言わないで下さいよ。」
重く悲しいトーンが、耳に響いた。ハッとして、和屋君の顔を見る。泣きそうに歪んだ眉に、ズキリと心が痛んだ。
「俺は、楽しそうにボールを投げたり、チームの皆さんと一緒にグラウンドを駆け回って笑ったりしてる佐桜花さんを見て好きになったのに。
先輩は、自信なさすぎだと思います。誰よりも努力してるのに、理想にはまだまだ遠いからって、自分のことを過小評価してると思います。」
――そんな風に誉められたことは、きっと一度もなかった。和屋君は、一体いつからあたしのことを知ってるんだろう。まるで、何年も前からずっと見てきたような台詞だけど。
「自分を認めてやることも、必要ですよ。佐桜花さんは、苦手なことや嫌なことから逃げない人じゃないですか。一年近くかけて投球フォームを改善したり、こうやって、料理に挑戦してみたり。
俺、去年の夏の大会で見てから、ずっと佐桜花さんのファンなんです。正直、ここに入学してからびっくりしました。あの頃憧れてた人が、もっと凄い人になってるなんて。だから、自信持って下さい。持ってくれなきゃ、嫌なんです。」