青春ing
 まっすぐな言葉達が、剛速球みたいに、心に突っ込んでくる。本当に、応援してくれてるんだ。こんな人達のために、もっともっと頑張りたいな。



「あ……俺、勢い余って告白しちゃいました?」

「……え?」

「え、って、聞いてなかったんですか?」



 呆れたように笑いながら、「まぁいっか」と和屋君。「じゃあ、もう一度言おうかな。またとない機会だし」と口にして、こう続けた。



「佐桜花さんの好みのタイプとは、きっと全然違うと思う。でも、良かったら、これからもこうやって一緒に料理したり、何処かに出かけたりしたいんです。
……俺と、付き合ってくれませんか?」



 ――多分ずっと、理想と現実の間で混乱していたんだと思う。自分の気持ちを認めるのが、嫌だったんだと思う。だけどもう、嘘はつきたくない。得意のストレートみたいに素直で直球なのが、きっとあたしの良さだと思うから。

 ゆっくりと、まんまるの瞳を見つめてみる。この子に釣り合うとか釣り合わないとか、そんなことは気にしなくて良いんだ。あたしはあたしらしく、この子と付き合っていけば良いんだよね。



「えっと、じゃあ、よろしくお願いします!」



 差し出した右手に、きょとんとした目が向けられる。え、何か変かな?そう思ったのも束の間、和屋君が「あ、すいません!」と言って、慌てて握手をしてくれた。



「佐桜花さんって、やっぱり体育会系ですね!礼儀がきちんとしてるっていうか……試合の癖でしょ?」

「あ、ほんとだ……」



 これじゃあまるで、対戦校との練習試合みたいだ。一気に恥ずかしくなって、思わず俯く。そうしたら、クスクスと笑い声が聞こえた。でも、馬鹿にしたような嫌みな感じは全然ない。むしろ、“素直だなぁ”と感心したくらいだった。
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