青春ing
「佐桜花ちゃんって、竜泉がいつも話してた子かしら?ソフト部の?」

「へぇ、モデルみたいに背が高いじゃないか。ま、竜泉の成長期はこれからだな。」



 柔らかく微笑むお母さんに、ニヤリと何処か嬉しそうなお父さん。竜泉君は上機嫌で、「へへ、さっき付き合うことになったんだよ!」と言う。あまりにオープンなので、ちょっと驚いてしまった。

 竜泉君の家族は、凄く仲が良いらしい。基本的に隠し事はしない主義なのか、“今日学校で何があった”なんて話は、自然に出てくるものみたいだった。

 洋泉君とは、少し一緒におもちゃで遊んだんだけど、何だか懐いてくれたらしい。ソフトをやっているという話にも食い付いてきて、「まえね、おにーちゃんといっしょにテレビでみたの!」と話してくれた。一人っ子のあたしには、弟ができたみたいで凄く嬉しい。



「佐桜花さん。良かったら、また洋泉と遊んでやって下さいね。こいつ、野球とかソフトに興味があるみたいで。佐桜花さんとキャッチボールができたら、凄く喜ぶと思うんです。」

「ほんと?じゃあ、将来の選手を育てちゃおうかな!
竜泉君も、また料理教えてね。今度はウチにも来なよ。」

「はい、是非!」



 明日も朝練があるから、ご家族に挨拶をしておいとまする。途中まで竜泉君に見送られて、付き合うってこういうことか、なんて考える。



「じゃあ、また学校で。部活頑張って下さいね!」

「うん、ありがとう。じゃあ、また明日ね。」



 手を振って、ゆっくりと歩き出す。お母さんと、香子には報告しようかな。心で呟いて、帰途に着いた。
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