【実話】ありがとう…。
「あの……たかさんの携帯…返して貰っても良いですか?」



「えっ?」

お兄さんは、ビックリしたようにバックミラー越しに、私を見、奥さんは後ろを振り返り、私を見ていた―。


「契約者…私なんです。支払いちゃんとするからって約束だったんですけど、支払いも私がしてたし…。お母さんには、一応言ったんですけど…返して貰え無かったから…」



お兄さんも困ったような顔をし、少し考え、

「分かった。お袋には俺からちゃんと話して、返すようにするから、もう少し待って貰える?」



「はい。よろしくお願いします」



「ところで望ちゃんどうする?家に帰るなら送ってくし、それとも一緒にたかの所に行く?」



「たかさんの所に行きます」


本当は、たかさんの自宅に戻るはずだったけど、急な階段があり、たかさんを連れて帰れない為、叔母さんの家に行く事になった。


家に着くと、直ぐにお兄さんの仕事仲間の葬儀屋さんが来て、祭壇を用意したり、テキパキと仕事をこなして行く。


祭壇も出来上がり、たかさんはもう、棺に入って居るので、そのまま安置される。


暫くして、落ち着くと皆ご飯を食べたり、お風呂に入って寛ぐ。


< 100 / 168 >

この作品をシェア

pagetop