【実話】ありがとう…。
線香の匂いのする所に居たから、当たり前なんだけど、ふとした瞬間、たかさんの付けていたCKの香りがする―。


たかさん…もう痛みは無くなった?

苦しくない?

ゆっくりうつ伏せで眠れてる?

お疲れ様…ゆっくり休んでね…。






12月11日。

1時位に家を出て、たかさんの所へ行った。

やっぱり顔を見ると、涙が溢れ出る―‐。


周りはバタバタと葬式の準備の為、忙しそうに動いている。


私は、ただたかさんの傍に居て、その光景を眺めていた…。


3時、葬儀会社の人がたかさんを迎えに来た。

車に載せられて行くのを呆然と眺めていると、智兄(長男の智之さん)が、

「たかと一緒に乗って行くか?」

と声を掛けてくれて、たかさんと一緒にお寺に向かった。


葬儀の準備も終わり、周りも一息付き始めた頃、智兄が一人で居たので話掛けた。


「智兄…」



「あぁ、望ちゃんどうした?」



「今、大丈夫ですか?」



「あぁ、うん」


私は、誰にも聞けなかった『ミホ』の事を思い切って聞いてみた。


「智兄は、ミホの事知ってたんですか…?」



「うん……ごめんな」



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