【実話】ありがとう…。
女の子はパタパタと走って行く。


「望ちゃん、確りしなよ!」



「ありがとう」

ニコリと笑う。

「じゃ、旦那も待ってるし、行くね。」



「うん、又ね」


葬儀に参列していた人達も殆んど帰り、親戚やたかさんと仲の良かった友達だけになり、私もそろそろ帰ろうと立ち上がる。


智兄の姿を見付け、挨拶をし、家路に着く。






12月12日。

今日はとうとう、たかさんと最後のお別れの日。


お坊さんのお経の最中、ただたかさんの遺影を眺めていた。


たかさんが何処かで、この光景を眺めている気がして、探してみても、見付からなかった…。


出棺の時、智兄に頼み、手紙を入れさせて貰った。


たかさん…。

手紙に色んな事、グチャグチャ書いたけど、あっちに着いたら、ゆっくり読んでね。



沢山の花に囲まれ、愈々、棺の蓋が閉められる。


「望ちゃん、前においで」

と智兄が声を掛けてくれて、傍へ行く。


棺に釘が打たれ、もう…開く事はない―‐。


沢山の親戚や仲間に見送られ、火葬場へ向かう。


「望ちゃん!バスに乗るよ」

ビックリして振り向くと、ミミちゃんに手を引かれ、バスに乗り込む。


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