【実話】ありがとう…。
火葬場に着き、愈々…本当のお別れだ―‐…。


釜の蓋が閉められる―。


佐藤 孝行

2001年12月9日

享年 32歳



皆さっさと控え室へと移動して行くなか、智兄と私は…その場から動けず、ただ釜の方を眺め―。

静かに泣いた―‐。


やっとの事で、二人も控え室へ移動し、ボーッとしていると携帯のバイブ音。


「ブーン、ブーン、ブーン」


着信を見ると、働いている病院の看護師から。

仕方なく出る。

「はい」



「高橋さん?婦長ですけど」


一瞬ヤバいって思った。

「はい」



「高橋さん、親戚の人が亡くなったからって、休み取ったけど、本当は、親戚じゃなくて彼氏なんだよね!!親戚だって言ったから休みあげたのに、明日の勤務から出て来なさいね!」

機関銃の様に話、電話は切られてしまった。

隣に居た智兄には、全部聞こえていた。


「大丈夫?」



「はい。すいません…」

と頭を下げたが、恥ずかしくて逃げ出したい位だった。


「いや、気にするな」

と笑ってくれた。



1時間後―。

「焼き上がりましたので、5号室へどうぞ」


皆、ぞろぞろと移動して行く。


部屋へ入ると、物凄い熱気と何とも言えない匂いが漂っていた―。



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