【実話】ありがとう…。
「あっち、居ないの?」


部屋のドアノブに手を掛けた時だった。



「うっ…ウワーッ」

急いでドアを開けると―‐。


ベットの上で、もがき苦しむあっちの姿―。



「あっち!あっち!ねぇ、どうしたの!?」

傍に寄り体を揺すっても返事はなく、ハァハァと苦しそうに息をするばかり―‐。


「あっち、返事をしてよ!ねぇーッ」



「ハァ、ハァ」


額には脂汗をかき、時折苦しそうにシーツをギュッと掴む。


私はただあっちの額の汗を拭き、見ている事しか出来ない自分が情けなくて腹立たしかった。


「あっち…グスッ…あっちー」

溢れ出す涙がシーツに染みを作っていく。




ねぇ…たかさんなの…?


あっちを苦しめてるのは、たかさんなの?


違うよね…。



その時だった―‐。


後から右腕の上腕を強く掴まれCKの香りが部屋の中を漂う―‐…。


「たか…さん…?!」


どうして…?


あっちはCHANELの香りを好んで付けていた。


だから…この部屋からCKの香りがする訳が…無い。



ねぇ…あっちが何をしたって言うの!?


何でこんな事するの…?


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