【実話】ありがとう…。
仕方無いな。

片付けるか…。

そう思い、キッチンに向かうと、キッチンも洗い物が溜まっていた。


キッチンの洗い物を先に片付け、灰皿も綺麗に洗う。


読みっぱなしの雑誌をラックに片付け、ホッと一息つく為、煙草に火を付け、肺の奥に煙を押し込め、吐き出す―。


ガチャガチャと音がして、部屋のドアが開く。


「お帰りなさい!疲れてない?」

と優しく微笑む。


「ただいま。今日はそんなにお客さん来なかったから大丈夫」

とニッコリ笑った。


「そっか」



「帰って来た時に部屋の灯りが付いてて、『お帰りなさい』って言ってくれる人が居るのって、やっぱり良いな…」

照れ臭そうに笑って、最後の方は、何だか寂しげだった。


あっちは一度結婚に失敗してた。



だから不思議に思った。


「奥さんが居たんだから、帰って来たら、『お帰りなさい』くらい言ってくれたでしょ?」



「アイツ、仕事してたからさ。料理も殆んどしないし、外食ばっかだった」



「仕事してても、料理は出来るし、『お帰りなさい』だって言えるよ?」



「だから…ダメになった。初めは良かったけど、段々気持ちもすれ違っていったんだ」


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