【実話】ありがとう…。
最後の方は、聞いてる私でさえ、胸が苦しかった―。


「ごめん…変な事言って…」



「気にするな!あっ、洗い物とか片付けてくれたんだな。ありがとな!昨日のお礼に、飯食いに行かないか?」



「うん、行く!」



「じゃあ、行こうか」

とニッコリ笑うあっち。


鞄とコートを手にし、仲良く部屋を出る。


地下の駐車場に降り、車に乗り込んだ。


「望は、何が食べたい?」



「あっちは?」


静かに車は走り出す。

「俺は、特にない。望が食べたい物で構わないよ」



「う~ん、食べたい物って言われてもなぁ」

考え込む望。


「凄くお腹が空いてるなら、近場にするし、そうじゃないなら、少しドライブでもしながら行こうと思うんだけど…どう?」

優しく聞いてくれる。


「お腹はそんなに空いてないから、ドライブしながらが良いな♪」



「O・K!」


暫く走ると街並みがキラキラと輝いていて、とても綺麗な景色だった―。


「綺麗~」

車を道路脇に止め、二人窓の外を眺める。


「本当だな!」



「キラキラ輝いて、宝石みたい!」


あっちが優しい顔で、私を見ているのに気付き、照れ臭そうに笑う。


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