【実話】ありがとう…。
「おう」


支払いをして、店を出る。


「あっち、今日はご馳走様!」



「どういたしまして」

と笑い、車に乗り込む。


車を走らせ、

「望、この後どうする?部屋に来るか?」



「う~ん、明日仕事早いし、今日は帰る」



「ん、分かった」


車の中に静かに流れるSkoop on Somebody(SOS)の潮騒―。


切ない歌詞だけど、初めて聞いた時から、大好きになった曲。


あっちはSOSが好きで、車の中は、いつもSOSの曲が流れていた。


曲を聞きながら窓の外を眺める―。


「あっち、今日は瞬さんに会わせてくれて、ありがとう」



「何だよ、急に」



「ん~、彼女って紹介してくれて、嬉しかったから」


あっちはフフンと鼻で笑った。


家の近くのコンビニに着く。


「今日は、ありがとう。楽しかった!おやすみなさい」


「おぅ、また連絡するよ。おやすみ」


静かに走り出す車を見送り、帰路に着く。


「ただいま~」

ドアを開けると、

「お帰りなさい」

と優しい母の声。

「ご飯食べて来たんでしょう?」



「うん。あっちが友達の店に連れて行ってくれて、ご馳走になったから」


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