【実話】ありがとう…。
‡第十二章 彼からの言葉‡
やっと目的地に着く。
神様に上げるためのお酒を、近所の雑貨屋で買い、老人の家を訪ねる。
「ごめんくださーい」
玄関の鍵は掛かっておらず、声を掛けるも返事はない。
仕方無く、何処かで時間を潰そうと来た道を戻っていると、自転車に乗った老人とすれ違う。
老人は、私達が訪ねた家に入ろうとしている。
「すみません…。遠藤さんですか?」
「あぁ、電話して来た人かね?」
「はい」
「すまないね、海に行ってたもんだから。遠い所良く来なさった。中へお入り下さい」
家に上がった途端―。
「アンタだね、先ずはここに座りなさい」
そう言い、私を見た。
電話をしたが、どんな状況なのかは一切話していない。
なのに、遠藤さんは、母には目もくれず、私に話掛けた。
「最近アンタの近しい人が亡くなってないかい?親戚とか仲良くしてた人とか」
遠藤さんは淡々と話す。
「男の人だ。30代前半。うーん、病気で亡くなっとる」
ポロポロと零れ落ちる涙―。
「たかさん…」
「やっぱり、知ってる人じゃな?」
「はい」
「じゃあ、わしは用意してくるで、少し待ってて下され。
神様に上げるためのお酒を、近所の雑貨屋で買い、老人の家を訪ねる。
「ごめんくださーい」
玄関の鍵は掛かっておらず、声を掛けるも返事はない。
仕方無く、何処かで時間を潰そうと来た道を戻っていると、自転車に乗った老人とすれ違う。
老人は、私達が訪ねた家に入ろうとしている。
「すみません…。遠藤さんですか?」
「あぁ、電話して来た人かね?」
「はい」
「すまないね、海に行ってたもんだから。遠い所良く来なさった。中へお入り下さい」
家に上がった途端―。
「アンタだね、先ずはここに座りなさい」
そう言い、私を見た。
電話をしたが、どんな状況なのかは一切話していない。
なのに、遠藤さんは、母には目もくれず、私に話掛けた。
「最近アンタの近しい人が亡くなってないかい?親戚とか仲良くしてた人とか」
遠藤さんは淡々と話す。
「男の人だ。30代前半。うーん、病気で亡くなっとる」
ポロポロと零れ落ちる涙―。
「たかさん…」
「やっぱり、知ってる人じゃな?」
「はい」
「じゃあ、わしは用意してくるで、少し待ってて下され。