【実話】ありがとう…。
用意が出来たら、呼ぶでな」

そうゆうと、遠藤さんは隣の部屋に入り、用意を始める。


5分程すると、隣の部屋へ呼ばれる。


「ここに座って。お母さんも隣にどうぞ」


言われた座布団に座り、辺りを見回す。


部屋には仏壇のような物があり、周りには、見て貰った人達から上げられた、沢山のお酒やお供え物が所狭しと並んでいる。


この神様は、大きな狐と1匹と小さな狐2匹の狐を操り、悪い物を祓ったり、小さな狐に情報を貰ったりしているらしい。


霊感の強い人は、狐の姿が見えるようだが、残念ながら、私には見えなかった。


手を合わせて祈り始める。


お経の様な、そして呪文の様にも聞こえる言葉を発し、体に触れる。


触れられた部分が徐々に熱くなり、自然と涙が零れ落ちる―。


溢れ出した涙は、次々に零れ落ち、止まらない―‐。


どの位の時間そうしていたか分からないが、とても長く感じた。


全てが終わり、遠藤さんが静かに話す。


「彼は…アンタに迷惑掛けるつもりなんか無かったんじゃ…。ただ、心配で傍に居たかっただけなんじゃな」


涙の雫がまた、零れ落ちた―。


「病気が治ったら、結婚しようと思ってたみたいじゃな」


< 144 / 168 >

この作品をシェア

pagetop