【実話】ありがとう…。
‡最終章 ありがとう‡
それから数週間たち―。


たかさんのお母さんから電話が来た。


「久し振りだね。元気かい?」



「はい。お母さんは、変わりないですか?」



「うん、変わりないよ。今日は、たかの一周忌の事で連絡したの。12月8日なんだけど、来れる?」



「休み取ったんで、行きます」



「良かった。10時にお寺でお参りしてから、場所を移して、食事だから」



「はい、分かりました。早めに家に行きますね」



「じゃあ、またね」


12月8日。

今日は、たかさんの一周忌―。


久し振りにたかさんの家に向かう。


ピンポーン―‐。


ガチャリと音がして、ドアが開いた。


「久し振りだね。元気だったかい?」



「何とかやってます」



「そう。お寺に行くには時間があるし、上がったら?」



「はい、お邪魔します」



部屋に上がり、仏壇の前に座り、手を合わせる―‐。


たかさん…。


この一年は私にとって、苦しみしか無かったような気がする―。


たかさんも、きっと苦しかったんだよね…。


仏壇の前に座っている私に、お母さんが声を掛ける。


「望ー、ちょっと手伝ってくれる?」


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