【実話】ありがとう…。
「ああ」

と面倒臭そうに、体温計を受け取り、熱を計る。


「ピピピピッ、ピピピピッ」


手を差し出すと


「大した事ねぇって」

と体温計を隠す。


「見せて!」

と体温計を取り上げた。


「38・9℃もあるじゃん!薬飲んだの?」



「飲んでねぇ」


ため息を吐き、流しへ行き水を持って来る。


持って来た薬を取り出し、

「はい、解熱剤と抗生物質だから飲んで!」


たかさんも仕方なく起き上がり、渡された薬を飲む。


一息付き、

「悪かったな。態々来て貰って。言いたい事、有るんだろ?ずっと連絡してるのに全然出ねぇし。」



「…具合悪いって言ったから」



「気にすんな。ちゃんと聞くから…」



具合が悪いせいなのかわからないけど、少しだけたかさんが小さく見えた―‐。



本当は、言いたい事も、聞きたい事も沢山有った。


でも…。

たかさんの具合が悪そうな姿を見たら、何にも言えなくなってしまった。


「…いいよ。具合悪いのに…」



「「………」」

沈黙の二人。



暫くすると、突然たかさんが声を上げる。


「体痛てー。あっちこっち痛てぇけど、腰と首が特に」


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