【実話】ありがとう…。
12月6日。

11時過ぎ、たかさんの病院に着く。


マスクをし、手を消毒して病室に入ろうとすると、看護師に声を掛けられる。


「佐藤さんの白血球、又、下がってるんですよ。昨日は、900だったんですけど、今日は、200まで下がってしまって…。熱も39・0℃まで上がってます。中に入ったら、手を洗って、うがいもして下さい。後、この予防衣を着て下さい」



「分かりました。ありがとうございます」

予防衣を受け取り着替える。


病室に入り、手洗いとうがいを済ませ、傍にあった椅子に腰をかける。


「たかさん…?」


うっすらと目を開け、こちらを見る。


「望ー、氷枕変えて貰って」



「うん…」


NSステーションに行き、新しい氷枕と変えて貰い、病室に戻る。


「たかさん、頭少し上げれる?」



「んっ」


氷枕をし、椅子に座ろうとしたら、

「帰ってもいいよ」


その言葉が…魔法の呪文の様に聞こえ、私の涙腺は壊れてしまった―‐…。

今まで、たかさんの前では絶対に泣いたりしなかった。


我慢していた涙が一気に溢れ出し、ボロボロと床に落ちていく。


「ごめんね…昨日、無理させちゃったから」


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