落日
聡はちゃんと聞いてくれているのか。
寝室は相変わらず静寂が続いていた。
「気づいたら、聡のことが彼氏以上に好きになってた」
そう言い終えたあと、私はそれ以上のことを言葉にできなくて、寝室にいる聡と同じように口をつぐんだ。
「依子」
着替えを終えた聡が寝室から出てきたのは、そのすぐ後だった。
まともに聡の顔を見ることができなくて、俯いていた私の顔を、彼は片手でそっと上げる。
「……後悔しないのか?」
黙って、私は頷く。