落日
「今日はどうする? 泊まっていく?」
「ううん、帰る」
そして、誠司のマンションに泊まらずに帰る、という私を引き止めることもしない。
誠実。だけど、物足りない。
もう少し強引さが欲しいと思ったりもするけれど、私は敢えてそれを誠司に願ったりはしない。
誠実さが、彼そのものだから。
強引な誠司は、本当の彼じゃないから――。
香織たちからの遊びの誘いや、誠司と会う予定のない日。
私は自分の住処(すみか)に朝から晩まで引きこもる。